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大学受験予備校で数学の講師をしております.

森下唯のアルカン ピアノ・コレクション2《協奏曲》

森下唯のアルカン ピアノ・コレクション2《協奏曲》

 

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収録曲は

 

 

すべての短調による練習曲 Op.39 の第8番~第10番《協奏曲》

ジーグと古い形式によるバレエ音楽 Op.24

鉄道エチュード Op.27b

幻想曲 欲望

 

 

こちらYouTube にアップされたダイジェスト動画

 

Op.39の協奏曲はアムランの新盤 が技術的にも安定しており

決定盤かなと思っていました.

CDで入手可能なのもアムラン盤くらいでしたし.

が,同時に解釈の面でしっくりこないところが多々ありました.

例えば第1楽章の主題の第2音はスタッカートなのに延ばすとか

第3楽章のテンポが速いなど.ということもあって苦手曲.

 

その点,森下盤は,彼が芸大の修士論文で扱ったということもあって

非常によく練られている.というか,練られているのでしょうけれど

聴く側としては「自然」に感じられる.こんなに良い曲だったのかと.

ということで,期待以上の出来.

 

Op.24はそもそも2曲続けて弾いているのって中村攝(金澤攝)盤しか

聴いたことがなく,あまり詳しくないのですが,部分的に無理があると思える

この曲を森下盤はごく自然に聴かせていてすごい.

 

Op.27b も中村攝やマルタンなどが録音を残していますが,

私の知る限りでは技術的には最上の演奏

もう少し1音ごとに分離がはっきりしていてもよいかな(多少もごもごした感じ)

とも思うのですが,それだとコンピュータ的になってしまうという解釈でしょうか.

 

以上,超絶技巧の曲がずらりと並んで,

最後は幻想曲 欲望で しっとりと締めるという.

 

 

奏者はアルカン研究では第一人者ですが,全編を通して

その解釈は一般に受け入れられやすいものと思います.

アルカンのこれらの作品の魅力を十分に伝えているという点で,

ここ数年で入手したCDでも特に優れた1枚でした.

続編に期待,そして多くの技巧派ピアニストが

彼の後に続いてくれることを期待したいです.