円と正多角形を次々に外接させると
twitterで見つけた問題です.
半径1の円$ C_3 $に外接する正三角形を$ P_3 $とする.
$ P_3 $に外接する円を$ C_4 $とする.
$ C_4 $に外接する正方形を$ P_4 $とする.
$ P_4 $に外接する円を$ C_5 $とする.
$ C_5 $に外接する正五角形を$ P_5 $とする.
・・・
以下同様に,円$ C_n $が定義されたとき,
$ C_n $に外接する正$ n $角形を$ P_n $とする.
さらに,$ P_n $に外接する円を$ C_{n+1}$とする
($ n=3,\ 4,\ 5,\ \cdots $)
円$ C_n $の半径を$ r_n\ (n=3,\ 4,\ 5,\ \cdots)$とするとき,
$$ \lim_{n \to \infty} r_n $$
の収束・発散を調べる
というものです.
結論は「収束する」であり,その値は$ 8.7000\cdots $
です.
(極限値が正確にどうなるかは,現時点では私には分かりません)
「収束する」ことの証明なら,次のような感じで
大学入試レベル(標準よりやや上?)の問題になりそうです.
(1) $ \dfrac{r_n}{r_{n+1}} =\cos \dfrac{\pi}n $を導き,次を示せ.
$ r_{n}=\dfrac{1}{\ \cos \dfrac{\pi}3 \cos \dfrac{\pi}4 \cdots \cos \dfrac{\pi}n\ }\ (n=3,\ 4,\ 5,\ \cdots)$
(2) $ x>0 $のとき,$ \cos x >1-\dfrac{x^2}2 $と
$ e^x>1+x $を示せ.
(3) $ 0<x<\dfrac{\pi}4 $のとき,$ \dfrac{1}{\ 1-\dfrac{x^2}2\ }<1+x^2 $と$ \dfrac1{\cos x}<e^{(x^2)}$を示せ.
(4) $ n=4,\ 5,\ 6,\ \cdots $に対して,次の不等式を示せ.
$ \dfrac{1}{4^2} +\dfrac{1}{5^2}+\cdots +\dfrac{1}{n^2} < \dfrac{1}{3\cdot 4}+\dfrac{1}{4\cdot 5}+\cdots +\dfrac{1}{(n-1)n} <\dfrac{1}{3} $
(5) $ r_n<2 e^{\frac{\pi^2}3} $を示せ.
ちなみに,$ \displaystyle \sum_{n=1}^{\infty} a_n $が絶対収束するならば$ (1+a_1)(1+a_2)(1+a_3) \cdots $が収束することはよく知られており,その証明に倣いました.
$ 53< 2e^{\frac{\pi^2}3} <54 $なので,かなり粗いです.
もう少し精度を上げたいなと.
一番有力なのは
$$ \prod_{n=1}^{\infty} \left(1-\dfrac{a^2}{n^2} \right) = \dfrac{\sin \pi a}{\pi a} $$
や
$$ \prod_{n=1}^{\infty} \left(1+\dfrac{a^2}{n^2} \right) = \dfrac{e^{\pi a }-e^{- \pi a}}{2\pi a} $$
を用いるものです.
ただし,
$$ \prod_{n=1}^{\infty} a_n =a_1 a_2 a_3\cdots $$
(無限積)です.
これらで$ 1-\dfrac{x^2}2 $や$ 1+x^2 $の積の部分を求めるのが一手.
(一般的な高校生のレベルでは難しいかもしれませんが)
高校生レベルでは上の(2)(4)を
$ \cos x > 1-\dfrac{8}{\pi^2} x^2\ \left(0<x<\dfrac{\pi}4 \right)$
$ \dfrac1{5^2}+\dfrac{1}{6^2}+\cdots+\dfrac{1}{n^2}<\dfrac{1}4 $
にして,$ \cos \dfrac{\pi}3 \cos \dfrac{\pi}4 =\dfrac{1}{2\sqrt2} $を用いると,
$ r_n <2\sqrt{2} e^2 =20.899 \cdots $
まではできました.
(もっと強い評価式を作れば,さらに改善できます・・・)