tactn001のブログ

大学受験予備校で数学の講師をしております.

2017年度 大阪医科大学 前期 第5問 複素数平面

17年 大医 前期の複素は良問でした.以下は,その要旨です.
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複素数平面上の原点Oを中心とする半径1の周上にある
3点A($ a $),B($ b $),C($ c $)を3頂点とする
直角三角形でない三角形ABCを考える.
A,B,Cを原点の周りに$ 2\theta (0<2\theta <\pi )$回転して
得られる点をそれぞれ,D($ d $),E($ e $),F($ f $)とする.
直線BCと直線EFの交点をP($ p $),
直線CAと直線FDの交点をQ($ q $),
直線ABと直線DEの交点をR($ r $)とする.
さらに,$ \lambda=\dfrac{\cos \theta+i\sin \theta}{2\cos\theta }$とおく.
(1) $ p, q, r $を$ a, b, c, \lambda $で表せ.
(2) ある点G($ g $)を中心として,三角形ABCを回転し,
ある一定の比率で拡大または縮小すると三角形PQRに重なることを示し,
このような$ g $を$ \lambda, a, b, c $で表せ.(17 大阪医大・前期(改題))
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元の問題は,前半で図形的な考察をするように洒落た誘導が
ついていましたが,ここでは計算を前面に押し出して解いてみます.

以下,$ w=\cos \theta +i \sin \theta $とする.
このとき,
$ 1+w^2 =1+\cos 2\theta+i \sin 2\theta= (2\cos\theta)w $
が成り立つ.

(1) $ b, c, p $は同一直線上にあるので,$ \dfrac{p-b}{c-b}$は実数である.
ゆえに,$ \overline{ \left( \dfrac{p-b}{c-b} \right) }=\dfrac{p-b}{c-b}$.
ここで,$ |b|=1 $より,$ \bar{b}=\dfrac1b $などが成り立つことに注意すると,
$ \bar{p}=\dfrac1b+\left( \dfrac1c-\dfrac1b \right) \cdot \dfrac{p-b}{c-b}=\dfrac{b+c-p}{bc}.$
同様に,$ e, f, p $は同一直線上にあるので,$ \bar{p}=\dfrac{e+f-p}{ef}=\dfrac{(b+c)w^2-p}{bcw^4}.$
ゆえに,$ \dfrac{b+c-p}{bc}=\dfrac{(b+c)w^2-p}{bcw^4}$から,$ (b+c)w^2(w^2-1)=p(w^2-1)(w^2+1)$
$ w^4\neq 1 $に注意して,
$ p=\dfrac{(b+c)w^2}{w^2+1}=\dfrac{w}{2\cos\theta} (b+c)=\lambda (b+c).$
同様に,$ q=\lambda (c+a), r=\lambda (a+b).$

(2)の前に・・・
三角形PQRが三角形ABCと相似であることは
$ \dfrac{r-p}{q-p}=\cdots =\dfrac{c-a}{b-a}$ ・・・(★)
から比較的容易に確認できる.

では(2).これは(★)と似たような式を作ることを目標にする.
特に(★)から,題意の変換でAがPに,BがQに,CがRに移るものが
存在することが(だいたい)分かる.つまり,
$ \dfrac{p-g}{a-g}=\dfrac{q-g}{b-g}=\dfrac{r-g}{c-g}$
を満たすように$ g $が取れればよい.
ここで,$ (p-g)(b-g)=(a-g)(q-g)$から$ pb-aq=(p+b-a-q)g. $
すなわち,$ \lambda (b-a)(a+b+c)=(1+\lambda )(b-a)g. $
$ a\neq b,\ 1+\lambda \neq 0 $から,$ g=\dfrac{\lambda}{1+\lambda } (a+b+c).$
これは$ \dfrac{q-g}{b-g}=\dfrac{r-g}{c-g}$も満たす.

2017年度 東京慈恵会医科大学 第4問 複素数平面

17慈恵 第4問の複素平面が良問で,質問をたくさん受けるので.

問題文
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複素数平面上の3点A($ \alpha $),B($ \beta $),C($ \gamma $)
は正三角形ABCをなし,$ \alpha \beta \gamma =-1 $をみたしている.
$ \triangle \text{ABC}$の重心D($ \delta $)が実軸上にあり
$ \delta >-1 $であるとき,次の問いに答えよ.ただし,
複素数平面上で複素数$ z $を表す点PをP($ z $)とかく.
(1) $ \triangle \text{ABC}$の外接円の半径$ l $を$ \delta $で表せ.
(2) $ \alpha, \beta, \gamma $を$ \delta $の式でそれぞれ表せ.
ただし,$ -\pi \leqq \arg \alpha \leqq \arg \beta \leqq \arg \gamma \leqq \pi $
とする.
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解法はいろいろありますが,
$ p^3 - q^3 =(p-q)(p-q \omega )(p-q \omega^2)$を利用する
のが方向性として見定めやすいように思います.
ただし,$ \omega $は1の虚数立方根です.
以下,偏角の順序の考察は容易なので後回しにして,
取りあえず(1) および 3頂点を表す複素数を求めてみます.
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$ \alpha, \beta, \gamma $の代わりに,3頂点を$ p, q, r $と表す.
すなわち,複素数の集合として$ \{ \alpha, \beta, \gamma \}=\{p, q, r \}$
である.そして,$ p, q, r $は$ \delta $を中心とする半径$ l $の
円周上に,この順に反時計回りに並ぶとする.

(解1) $ p- \delta =z $とおくと,$ q-\delta =z\omega ,\ r-\delta=z\omega^2 $
と表せる.すなわち,
$ p=\delta+z, q=\delta+z\omega, r=\delta +z\omega^2 . $
ゆえに,
$ pqr =(\delta +z )(\delta +z\omega )(\delta+z\omega^2) $
から,$ -1=\delta^3-(-z)^3=\delta^3+z^3 $を得る.
よって,$ l=|z|=\sqrt[3]{\delta^3+1}$

(2) $ \alpha=\delta -l, \beta=\delta -l\omega ,\ \gamma=\delta -l\omega^2 $

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(類題1)複素平面上で,三角形ABCの頂点を表す複素数を$ \alpha, \beta,\gamma $とする.
$ \alpha, \beta, \gamma $が次の3条件を満たすとする.
・三角形ABCは1辺の長さが$ \sqrt3 $の正三角形
・$ \alpha+\beta+\gamma=3 $
・$ \alpha \beta \gamma $は絶対値が1で,虚部は正
(1) $ z=\alpha- 1 $とおいて,$ \beta, \gamma $を$ z $を使って表せ.
(2) $ \alpha, \beta, \gamma $の偏角を求めよ.(99年京都大・前期)
※ 元の問題は偏角に範囲と順序がついていましたが,省略
(解)
(1) $ 1+z\omega , 1+z\omega^2 $
(2) $-\dfrac{2\pi}9 , \dfrac{\pi}{9}, \dfrac{4 \pi}9 $

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(類題2)$ a,\ b $を実数とする.
3次方程式$ x^3+ax^2+bx+1=0 $は3つの複素数からなる
解$ \alpha_1, \alpha_2, \alpha_3 $をもち,
これら3つの解が複素数平面上で1辺の長さが$ \sqrt3 $の正三角形
の頂点となる.このような$ a, b $の組をすべて求めよ.(03年 京都大・後期)

(解) $ (a, b)=(0, 0), (3\sqrt[3]{2}, 3\sqrt[3]{4}) $

2018年度防衛医科大学校 記述式(2017年10月29日実施分)

※ 受験生からの情報を元に再現したもので,実際の問題と
内容,表現に差異がある可能性もあります.

※ 情報を頂いた受験生に厚く御礼申し上げます.

1 次の各問いに答えよ.
(1) $ a $を実数の定数とする.$ x^2+ |2x-a|-a>0 $がすべての実数$ x $で
成立するための$ a $の条件を求めよ.

(答) $ a<0 $


(2) 半径2の円に内接する正10角形の1辺の長さを求めよ.

(答) $ \sqrt5-1 $

(3) $ a,\ b,\ n $を正の整数とする.
$ X=2^a\cdot 3^b $とし,$ X $と$ 5400 $の最小公倍数が16200,
$ X^n $の正の約数の個数が221個であるとする.
このとき,$ a+b+n $の値を求めよ.

(答) 11

(4) 円$ x^2+y^2=1 $上に2点P,Qがあり,常にPQ $=\sqrt2 $を満たしながら
動いている.R($ 2,\ 3 $)として,
内積$ \overrightarrow{\text{RP}}\cdot \overrightarrow{\text{RQ}}$の最小値を求めよ.

(答) $ 13-\sqrt{26}$

2 $ a $を正の定数とする.
点Oを原点とする$ xyz $空間において,
球$ x^2+y^2+z^2-4ax-2y+az-16a-4=0 $と
2点A(1,3,2),B($ -2,\ 1,\ 2 $)を考える.

(1) O,A,Bがすべて球面の内部にあるための$ a $の条件を求めよ.

(答) $ a>\dfrac12 $

(2) 辺AB上の点が1つだけ球面上にあるための$ a $の条件を求めよ.
ただし,点Oは球の内部にあるとする.

(答) $ \dfrac29 \leqq a\leqq \dfrac12,\ a=\dfrac{-25+7\sqrt{13}}{12}$


3 $ p $を$ 0 < p < 1 $を満たす定数とする.1回投げたときに
確率$ p $で表が出て,確率$ 1-p $で裏が出るコインがある.

このコインを投げ続けるとき,表が初めて出るまでに裏がちょうど$ k $回出る
確率を$ P_1 (k)$とする.
また,表が2回出るまでに裏がちょうど$ k $回出る確率を$ P_2 (k)$とする.

次の各問いに答えよ.
ただし,$ 0 < x < 1 $を満たす定数$ x $について,
$\displaystyle \lim_{n \to \infty} nx^n=0,\ \lim_{n \to \infty} n^2 x^n=0 $
が成り立つことを証明せずに用いてよい.

(1) $ P_1(k),\ P_2(k)$を$ p,\ k $で表せ.

(答) $ P_1 (k)=(1-p)^k p,\ P_2(k)=(k+1)(1-p)^k p^2 $

(2) $ \displaystyle \lim_{n\to \infty} \sum_{k=0}^n k P_1(k) $を求めよ.

(答) $ \dfrac1p-1 $

(3) $ \displaystyle \lim_{n\to \infty} \sum_{k=0}^n k P_2(k) $を求めよ.

(答) $ \dfrac2p-2 $

(更新履歴)
2017/10/29 22:15
2(3)「ただ1つ」
3 リード文 $ P_2 (k)$について「表$ k $回」→ 「裏$ k $回」

2017/10/31 00:02
1(1) 2(2)の問題文の情報を更新.

2017/10/31 21:15 2(2)を確定.

2017/11/08 22:55 1(1)を確定.問題がほぼ判明したので,更新終了.